カップラーメンと君と俺
朝練が終わり、教室へ向かう。

ここでも気が抜けない。ひょっとして、スーパーの子がいるかもしれないんだ。

べつに、弁当が欲しい訳じゃない。ただ、名前とか、クラスとか、そんなことを知りたい。ただ、知りたいだけなんだ。

でも、女子の壁に阻まれてるのか、彼女は見つからなかった。ほんと、マジでやつら邪魔だし。

「利一~顔怖いぞ~。」

佐助が苦笑い…。俺はいつの間にか、周りのやつらを睨みつけていたらしい。


教室に入った。結局、誰からも何も貰わなかった。冗談だったのかなぁ?

そう思いながら、荷物を置くために自分のロッカーを開けた。

「!!!」

それは、見慣れない桜色の紙袋で、ロッカーの中もなんだかいい匂いがしていて、俺は、またもや金縛りにあった。

横から佐助が覗き込み、あろうことか、紙袋に手を伸ばす。
俺はあわてて自分で紙袋を取った。

中を開けてみると、小さなカードと、使い捨ての容器に入った、たぶん弁当。

俺はまず、カードを見てみた。

 『嫌いなものが入っていないと良いのですが。
  入れ物は食べ終わったら捨ててください。』

最後にかわいい花のマークが書いてあった。

名前も、クラスも書いてなかった。
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