ゆるゆる恋愛事情
私は思わずびくっと身を震わせた。
「あーっ、と…」
「先生と付き合ってんの?」
「いや…」
「俺にしなよ」
え?
顔をあげると変わらない高須くんの笑顔。
「え?何?」
「だからさ、俺にしなよ。教師と生徒なんて上手くいくわけないじゃん?」
「………」
そう、だよね。
私がいくら背伸びしたって、所詮教師と生徒だし。
さよならって、言っちゃったし。
「誰がそんなん決めたん?」
………ん?
「生徒のデートに何の用ですか?榊原先生」
「……勇気、くん?」
「………」
無表情の勇気くんと視線が交わる。
「清水」
「は、い?」
「帰るで」
「……へっ?」
私は腕を捕まれてそのまま勇気くんに連れていかれる。
何、何がどーゆーこと?
置き去りにしてしまった高須くんのことなんて考える余裕は私には無かった。