ブラックコーヒー
1
街の一角にある小さな喫茶店。
それほど賑わう訳ではないが、落ち着いた雰囲気のこの店を気に入っている常連客もいる。
私もこの店が好きだった。
いつもと変わらない毎日。
今日もいつもと同じように、カウンターに頬杖をついて暇を持て余していた。
そこに一人の少年が入ってきた。
初めて見る顔。
ここに来るのは常連さんが主なため、知らない人が来るのは珍しい事だった。
顔つきからして私より年下のようだ。
高校生だろうか。
少年はカウンターの端っこの席に座った。
「ブラックコーヒーひとつ。」
トーンの低い大人っぽい声で注文した。
顔はいい方だ。きっとモテるに違いない。
頭の中で勝手に推測して注文通りにブラックコーヒーを出す。
カップに手を伸ばし、コーヒーを飲む彼の表情を伺う。
口に合うかな。
コーヒーは私がいれたものだが、いくらいれ慣れていてもお客さんが口にするときは緊張する。
しばらくして、少年が口を開いた。
「あんたがいれたの?」
「え、あ…はい」
ふぅん…と返して、少年は視線をコーヒーに戻した。
ま…不味かったかな?
ビクビクしていると少年は視線を下に向けたままぽつりと言った。
「……美味しい。」
あ…
「…ありがとうございます…」
しばらくボーッとしていたと思う。
気がついたら彼はまた来るよ、と残して店を出た。
やけに鮮明に記憶に残った。
それほど賑わう訳ではないが、落ち着いた雰囲気のこの店を気に入っている常連客もいる。
私もこの店が好きだった。
いつもと変わらない毎日。
今日もいつもと同じように、カウンターに頬杖をついて暇を持て余していた。
そこに一人の少年が入ってきた。
初めて見る顔。
ここに来るのは常連さんが主なため、知らない人が来るのは珍しい事だった。
顔つきからして私より年下のようだ。
高校生だろうか。
少年はカウンターの端っこの席に座った。
「ブラックコーヒーひとつ。」
トーンの低い大人っぽい声で注文した。
顔はいい方だ。きっとモテるに違いない。
頭の中で勝手に推測して注文通りにブラックコーヒーを出す。
カップに手を伸ばし、コーヒーを飲む彼の表情を伺う。
口に合うかな。
コーヒーは私がいれたものだが、いくらいれ慣れていてもお客さんが口にするときは緊張する。
しばらくして、少年が口を開いた。
「あんたがいれたの?」
「え、あ…はい」
ふぅん…と返して、少年は視線をコーヒーに戻した。
ま…不味かったかな?
ビクビクしていると少年は視線を下に向けたままぽつりと言った。
「……美味しい。」
あ…
「…ありがとうございます…」
しばらくボーッとしていたと思う。
気がついたら彼はまた来るよ、と残して店を出た。
やけに鮮明に記憶に残った。