涙の色は
「えっと、なんでいきなり…」

「ごめんなさい…私、夜が怖いの…」

「…こういうこと聞くのもあれだけど…なんで…?」

「………」

「いや…いいよ。無理に思い返さなくて。僕なんかの為に。」

「…っ!」

陽菜に平手打ちをされた。

「…なんで?」

「なんで…自分をないがしろにするの…」

「え…?」

陽菜の言葉はか弱くて。

僕には届かなくて。

「ありがとう。あとは電車で平気。家まで近いし。」

「じゃあね…」

「また…明日…」

僕は気付いた。
体よく別れられた、と。

< 9 / 20 >

この作品をシェア

pagetop