愛ノアイサツ
「これ・・・」
私が慌ててさっき拾った紙を男の子に差し出した。今はじめてその紙を見たら、そこには黒い線がたくさん引かれていて黒い点がたくさん打ち込まれていた。
「それは。」
男の子は長い線につながった丸いものを耳から取り外すと私からその紙を受け取った。
「君が拾ってくれたの?」
穏やかな瞳がまぶしそうに細められ私を見つめる。瞳と同じ茶色のやわらかそうな髪が風に揺られてなびいていた。
「ありがとう。夢中で気づかなかったよ。」
「それなぁに?」
「これは楽譜だよ。知らない?」
私が不思議そうに男の子の手にある紙を眺めていると、クスクスと笑ってから私に隣の席を空けてくれた。
「この黒い点があるだろ?この一つ一つが音をあらわしているんだ。」
「音?」
「そう。これはミ、これはラ。この音がたくさんつながると曲ができるんだ。」
「でも全然曲なんて聞こえないよ?」
私がそういうと、少しあっけにとられたような顔をして、次の瞬間には噴き出してさっきまで耳につながっていた丸いものを私の耳に入れた。
「すごい!曲が流れてる!」
「クスクス、これはね、愛のあいさつっていう曲なんだ。」
「愛のあいさつ・・・不思議、とってもあったかい気持ちになるね。」
「だろ?僕もこの曲が一番好きなんだ。」
嬉しそうに微笑む男の子が私を見つめる。私が同じように微笑むと男の子は少しだけ顔を赤くして目をそらした。不思議に思ってみていると今度ははにかんだ笑顔でわたしを見た。
「君の名前は?」
「私は雪乃、早瀬雪乃って言うの。」
「僕は神崎稜、先週からこの病院に入院してるんだ。」
「お兄ちゃんは中学生?」
「そう。今年中学に入ったんだ。君はいくつ?」
「7才だよ。」
「そっか。じゃぁ僕のほうが5つ上だ。」
「ねぇ、学校って楽しい?」
「まぁ、友達もいるし・・・雪乃は学校には行ってないの?」
「うん。体が弱いからずっと病院から出してもらえないの。」
「そうなんだ。早く治るといいね。」
「お兄ちゃんも早く治るといいね。」
その日はずっとその男の子のとなりで片方だけイヤホンっていうのをかりて曲を聴いていた。
私が慌ててさっき拾った紙を男の子に差し出した。今はじめてその紙を見たら、そこには黒い線がたくさん引かれていて黒い点がたくさん打ち込まれていた。
「それは。」
男の子は長い線につながった丸いものを耳から取り外すと私からその紙を受け取った。
「君が拾ってくれたの?」
穏やかな瞳がまぶしそうに細められ私を見つめる。瞳と同じ茶色のやわらかそうな髪が風に揺られてなびいていた。
「ありがとう。夢中で気づかなかったよ。」
「それなぁに?」
「これは楽譜だよ。知らない?」
私が不思議そうに男の子の手にある紙を眺めていると、クスクスと笑ってから私に隣の席を空けてくれた。
「この黒い点があるだろ?この一つ一つが音をあらわしているんだ。」
「音?」
「そう。これはミ、これはラ。この音がたくさんつながると曲ができるんだ。」
「でも全然曲なんて聞こえないよ?」
私がそういうと、少しあっけにとられたような顔をして、次の瞬間には噴き出してさっきまで耳につながっていた丸いものを私の耳に入れた。
「すごい!曲が流れてる!」
「クスクス、これはね、愛のあいさつっていう曲なんだ。」
「愛のあいさつ・・・不思議、とってもあったかい気持ちになるね。」
「だろ?僕もこの曲が一番好きなんだ。」
嬉しそうに微笑む男の子が私を見つめる。私が同じように微笑むと男の子は少しだけ顔を赤くして目をそらした。不思議に思ってみていると今度ははにかんだ笑顔でわたしを見た。
「君の名前は?」
「私は雪乃、早瀬雪乃って言うの。」
「僕は神崎稜、先週からこの病院に入院してるんだ。」
「お兄ちゃんは中学生?」
「そう。今年中学に入ったんだ。君はいくつ?」
「7才だよ。」
「そっか。じゃぁ僕のほうが5つ上だ。」
「ねぇ、学校って楽しい?」
「まぁ、友達もいるし・・・雪乃は学校には行ってないの?」
「うん。体が弱いからずっと病院から出してもらえないの。」
「そうなんだ。早く治るといいね。」
「お兄ちゃんも早く治るといいね。」
その日はずっとその男の子のとなりで片方だけイヤホンっていうのをかりて曲を聴いていた。