愛ノアイサツ
あの日以来、僕はしばしば雪乃の病室を訪れるようになった。たまに雪乃が僕の病室を訪ねてきたり一緒に裏庭に出て散歩したり、そうやって過ごす時間はとても新鮮だった。雪乃と一緒にいるときは窮屈な入院生活も全然気にはならなかった。

僕の好きな作曲家の曲を片方ずつイヤホンで聞いてその感想を話したり、昨日の夜のラジオで聞いた話を聞かせてあげたり、特に学校について雪乃はすごく聞いてくるから、休み時間や運動会について話してあげたらすごく興味深げに聞いていた。

「稜は雪乃の知らないことたくさん知ってるね。」
「え、そうかな。僕は物知りじゃないよ?」
「だって病院の外のことたくさん知ってるよ?雪乃あんまり外でたことないから稜の話すごく面白い!」

純粋で無邪気な笑顔がたまに眩しい。こうやって笑いかけられると、どうしても照れてしまって雪乃の顔をまともに見れなかった。

「じゃぁさ、雪乃の体が良くなったら僕が雪乃に病院の外を案内してあげるよ。」
「ほんと!?」
「ほんと。だから、早く体治そうね?」
「うん!」

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