続きは、社長室で。2
その儚げな表情で、以前発せられた言葉を思い出した。
“俺の気持ちは、オマエにしかない。
ギリギリのボーダーラインだ…”
切なさを含む声で紡がれたモノが、拓海のすべてだった?
疑問符を投げ掛けたくても抑えていると、フッと自嘲した彼。
「今まで蘭に見せてきた人格が、どれも俺な訳で…。
東条の名を持つ者…、東条グループ社長…、そして今の俺と…。
それらはすべて、俺に欠かせないモノなんだ。
だからその場に応じて、蘭を傷つける時があると思う。
ごめんな・・・」
「っ・・・」
あまりに苦しそうな言い方に、キューっと胸が締めつけられた。
これが拓海の琴線だという気がして・・・
「…謝らないで・・・
何があったとしても絶対に、拓海と生きていきたいの。
だから私も、一緒に頑張るからね…?」
「蘭・・・」
眼を丸くする彼に、ニコリと笑って頷いた私。
辛さと痛みで傷痕が出来ても、それは次へのステップに繋がるよね?
傷つく痛みを知ろうとも、その分もっと貴方を愛して生きたいの。
それが東条 拓海と結婚する、私なりの心持ちだから…――