続きは、社長室で。2
月明かりのナイ闇夜の中、閑静な住宅街で光彩を放つように佇む拓海。
街灯の明かりと自らの光芒を纏いながら、私を一点に捉えていて。
思わず息をするのも忘れるほど、その姿に見惚れていたの…。
「蘭…、出て来れる?」
「え、あ、うん!」
すっかり意識を奪われていた私は、清涼な声で再び我に返る。
「待ってるから、急がなくて良いよ」
「っ、ありがと…」
一笑されて通話が切れたあと、慌ててパジャマからワンピースに着替えた。
次に取り掛かったメイクは、ルースパウダーとアイブロウとリップのみ。
待たせたくない…、ううん、早く会いたいよ…。
そのはやる気持ちが、ポイントを絞った時短メイクに留めた理由で。
最後のチェックを終えると、バックを掴んでから階段を駆け下りて行く。
急いでいるトキにはアンクルストラップは、もどかしく感じたけれど。
ガチャッ――
ようやくパンプスに足を沈めると、玄関のドアを勢い良く開けた。
「蘭・・・」
「・・・っ」
ギュッ――
ホワイトムスクの香りに縋りたくて、自ら貴方の胸へと飛び込んだ・・・