続きは、社長室で。2
紅く残された痕に目が止まりつつ、シャワーを浴びて身体を目覚めさせると。
バスローブに身を包んで、まだ湯気の立っているバスルームを出てきた。
貴方が帰って来たら、伝えたいコトがまた増えたよ――
「うわ・・・」
それからクローゼットを開けば、その光景に目を奪われてしまった・・・
【蘭、おはよう。
シャワーを浴びたらクローゼットを開けて欲しい。
あと帰る時は、お袋に連絡すれば迎えに来るから。
心配だから、くれぐれも1人で帰らないでくれよ?
戻ったらすぐに会いに行く―― 拓海】
それは気だるさの残る身体を起こして、豪華すぎるスイートを窺っていたトキ。
真っ白な大理石のテーブル上に、よく見慣れている上質紙を発見したのだ。
拓海が所持している、東条の家紋入りの便箋で綴られたモノ。
書かれた字の綺麗さと短くて温かい文面に、グッと心を掴まれた。
「・・・っ」
どうして貴方は、いつも欲しい言葉ばかりを与えてくれるの?
自分が情けなく思いながら、噛み締めるように何度も丁寧に読み返した。
そうして一生の宝物と思うほど、嬉々としたのがいけなかったの…?