続きは、社長室で。2
未だに悔いてしまうほど…、このトキの私は非力すぎたから・・・
暫し硬直していた私は、辛うじて視線を動かして全体を眺めていく。
ワンピース、ドレス、コート、ジャケット、ニット、スカート…。
それらに合わせる靴や小物まで揃っており、呆気にとられてしまった。
「うそ・・・」
ようやく発せた言葉は、とあるコトを発見したからだ。
クローゼット内に所狭しと並べられた量に驚かされたのも、ひとつあるけれど。
理沙子さんと初めて出掛けた日に、数え切れないほど購入して貰った品ばかりで。
“本当にFOXEYが似合うのね”
東条一族の気品を纏いながらも、温か味のある笑顔を零していた理沙子さん。
数多くの店舗を見たにも拘らず、このブランドに固執していた彼女を思い出す。
そんな私も憧れのFOXEYで、プレゼントされた品を発見して喜んだりもした。
拓海とのデートの始まりに、プレゼントされた嬉しさを思い出しつつ…。
「っ――!」
此処にそんな品がある理由を、今になってようやく分かるなんて…。
これはすべて、拓海からのプレゼントだったのね…――