続きは、社長室で。2


きっと2人は、気負っていた私の不安を取り除こうとしてくれていた…。



それを表に出さない2人の優しさに、今ごろ気づくなんて・・・




いつでも優しい貴方を、どうして信じきれていなかったのかな?



すぐに不安になって、それが自信の無さを露呈していただけなのに…。



「・・・っ」


気を緩めると零れそうなモノの為に、グッと歯を喰いしばった。




いつでも泣いていたから…、最早クセになっているのかもしれナイ。



だけれど、泣いているだけで足踏みする自分とはサヨナラしたいの。




隣を歩くには覚束なさすぎて、東条家に嫁ぐには力不足だとも思う。




それでも貴方を愛するキモチなら…、誰にも負けない――




後姿を追っている日々を、いつか脱却出来るように頑張らなきゃ。



貴方の隣で笑って、胸を張って生きられる女性になる為に…。




愛証を与えられた分、ソレが糧となって強く生きられるハズだもの・・・





メイクやヘアを済ませると、クローゼットからお洋服を取り出した。



それはアノ日に唯一、自分の意思で欲しいと望んだお品だ。




< 110 / 226 >

この作品をシェア

pagetop