続きは、社長室で。2


ジーッと音を響かせて、ゆっくりとファスナーを上げていく。



それはオードリーをイメージしたデザインの白いホリードレス。



ウエストラインにかけての上半身は、ピタリとラインを強調しつつも。


スカートは、裾までのフレア感と襞(ヒダ)のバランスの良さが際立っている。


シンプルかつ上品でいて、畏まったガチガチの雰囲気にならない完璧さだと思う。




“まぁ、よく似合うわ!”


フフッと柔らかく笑った理沙子さんの言葉が、フッと蘇ってくる。




ホワイトを選んだのは、拓海のベンツ車のカラーと重なったから…。



“蘭のための車”と同じ色で、初めてプレゼントされたお洋服のブランド。



それらに運命を感じて、これを選んでいたのかもしれない・・・




ワンピースを纏った自身を、気恥ずかしくも全身鏡で眺めていると。



ピンポーン、ピンポーンと、インターフォンが部屋中に忙しく鳴り響いた。




ガチャッ――

慌てて向かってドアを開けば、これから連絡するハズだった理沙子さんで。



バタンッ――

そのまま雪崩れ込むような勢いで、音を立てつつドアを閉められると。





「た…、くみが・・・」



顔面蒼白の悲壮な表情で、縋るように抱きつかれた・・・




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