続きは、社長室で。2


理沙子さんはカタカタと小刻みに震えながら、拓海の名前を連呼していて。



そんな彼女の姿は、いつもの笑顔も、凛とした東条としての鎧も何もナイ。




「たく、み・・・」


蚊の鳴くような声で、最愛の息子の名を何度も呼ぶ刹那…。



「っ・・・」


透き通るような美声と涙が入り混じり、そんな彼女に閉口していく。




ううん…、本当はただ、私自身が怖くて尋ねられなかったのだ。



この様子から良くない知らせだと、否が応にも気づかされるというのに。




愛おしい貴方の身に起きたコトを、自ら尋ねられずにいたの…――




聞きたくても怖くて…、だけれど聞いたら崩れてしまいそうで。



言葉の発し方を忘れたように、いつしか口は開いてくれなくなっていた。




震える理沙子さんを支えて、その背中を擦ってあげるコトだけで精一杯で。



それ以上に動けないでいる自身の身体に、酷くイラつきを感じ始めたトキ。




「蘭ちゃん、もう大丈夫…」


そう言って私の手を制すと、彼女はいつもの気丈さを取り戻していて。



そのあとですぐ、貴方に降りかかったすべてを聞かされたの…。




今日という日に後悔を抱き、罪悪感が取り巻く中で…――




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