続きは、社長室で。2
多忙すぎる貴方に、ムリヤリ時間を作らせてしまった私のせいだ…。
もっとオトナの良識が備わっていたのなら…、起こりえなかったハズで。
いつも後ろについていたのに、貴方の大変さも何も理解していなかったからだ…。
人はどうして、窮地に立たなければ気がつかないのだろう?
貴方が私に齎してくれた分の代償は、あまりにも大きすぎたね…――
「…拓海の乗った飛行機が・・・
消息を、絶った・・?」
告げられた言葉があまりにも浮世離れしていて、当然のように反芻した私。
「えぇ…、プライベートジェットにトラブルが発生したらしくて…。
パイロットから、別空港に不時着する旨の連絡が管制官に入ったらしいわ。
でも…、予定時刻を過ぎても到着しないうえに、レーダー交信も出来ないそうよ…」
気丈に説明されていく度に、頭をガンガン殴られるほどの衝撃が走っていく。
「うそ…、そ、んなの・・・。
だって、朝まで・・・」
歪まない口元でも乾き笑いを浮かべなければ、とても聞いていられなかった。
“戻ったら会いに行く”と約束をして、朝方に見送ったばかりよ…?
おでこにキスを落とされて、優しい笑顔の拓海が目に焼きついているのよ…?
“冗談よ?”そう笑って欲しくて、願望だけを頼りに彼女を見つめた。