続きは、社長室で。2
「蘭ちゃん」
「っ――!」
ひとつ呼びかけられた声は、それが事実なのだと告げるサインだった。
「信じて待ちましょう、ね…?」
「や…、だ・・・」
「蘭ちゃん、落ち着いて!」
「やだぁああ!」
こちらを捉える表情からして…、初めからすべてを物語っていたというのに。
それでも受け入れたくなくて、両手で両耳を押さえると頭を振り続けた。
「蘭ちゃん、大丈夫だから!」
「・・・っ」
パニックで狂乱する私を、ギュッと抱き寄せてくれたのは理沙子さん。
いつもの広くて温かい胸では、ナイ・・・
「たく、みっ…――!
やぁーーー!」
ジッと捉えてくれるブラウンの瞳の色も、清涼な甘い声色も。
キスマークだって、愛された痕跡だって、しなやかな指の感触だって。
先ほどまで繋がっていた愛証は、ひとつ残らず刻み込まれているのに…。
愛おしい貴方は今、何処で息づいているの――?