続きは、社長室で。2
隠忍の、始まり。
寂しがるコドモさを咎めるどころか、優しい貴方は多忙の合間を縫ってくれて。
たくさんの愛証を残してくれたソレが、2人で生き抜く自信に繋がっていたのに。
“拓海の乗った飛行機が消息を絶った”
出張から戻った貴方に伝えようとしていた想いも、不器用すぎるキモチも。
たった一言の威力は甚大すぎて、いとも容易くを失わせてしまったね…。
「た…、くみっ――!」
あれから何度…、愛しいヒトの名を呼び続けているのだろう…?
「拓海ーーー!」
あと何回叫び続ければ、貴方の笑顔を見られるのだろう…?
キスマークと残された痕跡が、今の私を支える命綱と化しているほど。
怖くて、苦しくて堪らないのに、何も出来ない歯痒さだけが渦巻いていた。
きっと余裕を持ってスケジュールを組めば、こんな目に遭わせずに済んだのに…。
私は体裁や人の目ばかりに囚われて、何よりも大切なモノを見失っていたから。
誰よりも愛しい拓海を苦しめたのは、そんな私のせいだと考えてしまうの…。
拓海ごめんね…、お願いだから無事でいて…――