続きは、社長室で。2
「理、沙子さん…?」
放たれた言葉を再度確認しようと、恐る恐る呼びかけた。
「今だからこそ、守るべきよ」
「え…、な、んで・・・」
しっかりとした口調で告げられれば、ますます戸惑ってしまう。
そんな不安な心が表に出たのか、ひとつ溜め息をつかれてしまった。
「それなら、蘭ちゃんは…。
拓海を理由にしてキャンセルするつもり?」
「っ――」
「東条の人間なら“それ”が齎す影響を考えて欲しいの」
「っ…、申し訳、ありません…。
行かせて頂きます…」
ハッキリと言われて、無意識に感情優先の考えをしていたコトに気づかされる。
拓海の件は極秘だというのに、私は菫に事訳を話すつもりをしていた。
何処から情報が漏れるか分からない中で、なんて愚かな考えをしたのか…。
少なからず、東条家に足を踏み入れている人間が…――
「キツい言い方をして、ゴメンなさいね。
それでも理解して欲しいの…、今は事を荒立てる時期ではないと。
もちろん動きがあれば連絡するから、ね…?」
「はい…、宜しくお願いします…」
窘めてくれた理沙子さんに一礼したものの、自身の浅薄さを嘆きたかった。