続きは、社長室で。2
貴方のコトしか考えたくナイ…、ただひたすらに祈り続けていたい。
絶対に無事と信じているからこそ、ずっと待ち続けていたい…。
だけれど私の決死の願いや想いが、ただの我が儘でしかなくなるんだ。
東条グループ…、しいては世間を騒がす事態に陥るコトに…――
「蘭ー、遅い!」
「ごめんー、時間計算間違えて…」
待ち合わせ時間より30分遅刻となって、両手を合わせて謝れば。
「フフッ、それでこそ蘭だけど?」
「あっ、遅刻魔の菫に言われたくないし!」
謝ったコトを後悔させるほど、皮肉交じりな菫にムッとしてしまう。
「はいはい、皆待ってるし行くわよ」
「もぉ・・・」
今日も笑顔でスルーされると、相変わらず菫には勝てずに歩を進めた…。
あれから自宅に戻ると言った理沙子さんを見送って、急いで準備を始めた私。
もう一度クローゼットを開いて選び出したのは、シンプルなニットと膝丈スカート。
FOXEYらしい上質でシンプルなお洋服が、飲み会でも浮かない気がしたのだ。
いつの間にか、薄暗くなり始めていた無機色な景観を投げやりに一瞥すると。
拓海のホワイトムスクの残香を感じる部屋を、後ろ髪を引かれて退出した・・・