続きは、社長室で。2
葛藤の、始まり。
会場までは現地集合の為に、その中間地点で菫と待ち合わせをしていた。
そうして現地に向かって進んでいる、2人きりの今へと至るのだ…。
「それにしても、彼の趣味…?」
「え、何が…?」
ネオンが煌々とする繁華街を歩きながら、こちらを見る彼女に首を傾げると。
「その格好よ…、大人っぽくなってるし。
東条さん好みのテイストなのかなーって…」
「ッ…、うん、そ、うかな…」
引き出された東条の単語は、一気に弱気な心を蒸し返していくけれど。
「やー、もうすっかりラブラブだしぃ!
でも、ちょっとの間で本当に綺麗になったよ。
東条さんに愛されてるのね?」
大切な友達から、こんなにも嬉しすぎる言葉を貰ったというのに。
「っ…、ありがと…。
まだ結婚のコトは…、公に出来ないけど、ね・・・」
幸せに繋がる“結婚”の二文字は、何故か心臓をギューっと痛めつけていた。
どうしても苦しさが押し寄せてきて、上手く処理出来ないからだね…。
「あー、早く言いふらしたいんだけどぉ!
…って、どうかした?」
「う、ううん!
もー、絶対に内緒だからね!?」
不意に顔を覗かれて驚きながらも、どうにか笑いを交えて返すコトが出来た。