続きは、社長室で。2
本当は菫と会ったトキ…、縋りついて泣いてしまいたかった・・・
“どうしよう拓海が…”
その言葉を皮切りに、泣き叫びたくて堪らない自分と必死で戦っていた。
だけれど伸びそうな手は拳を作って、駆け出しそうな足には踏ん張りを利かせたの。
拓海の行方が掴めないという、かつてナイほどの真っ暗に包まれている中でも。
東条の人間として、卒のない立ち振る舞いへのプレッシャーが圧し掛かるから。
言えない…、言ってはイケナイとグッと耐えていた…――
「菫ー、蘭ー、こっち!」
「わー、久しぶり!」
お洒落な和風居酒屋に到着した私たちを、サークル仲間が待ち構えていて。
スーツ等の落ち着いたスタイルの皆に、やっぱり変化は生まれていても。
それでも溶け込める此処には、何も変わらないトキが存在していた…。
「なんか蘭…、めちゃくちゃ綺麗になったね!
ようやく落ち着けるオトコでも出来た?」
「もー、そんな訳ないから!
そっちこそ、アノ彼とはどうなの…?」
「お陰様で、バッチリ順調かなー」
「良いなぁ、羨ましい…」
久しぶりに会う仲間と、他愛も無い雑談と冗談を重ねていた。