続きは、社長室で。2
きっと拓海だって、桜井さんにそう伝えたいハズだから・・・
「フッ…、アイツが可愛がる理由も解るよ」
「え・・・?」
軽快な走行も赤信号で停車すると、桜井さんから優しい眼差しを向けられる。
理解出来ずに首を捻ると、理沙子さんにも似たようなコトを言われたと思い出した。
この意味が解るトキは、いつか来るのだろうか・・・
赤から青へと信号が変わって、彼が前方を見据えて滑らかに走行し始めた車。
それからはBGMが響き渡る車内では、どちらとも口を開くコトはなかった。
何も話さなくとも、2人の願いはたったひとつだから…――
高速をひた走り視界が空港を捉えた途端に、心臓の鼓動が再び忙しく動き始めた。
「拓海に何があっても、最後まで信じてやって欲しいんだ。
蘭ちゃんを置いて死ぬほど、アイツはヤワじゃない。
それはキミが一番分かってるよな…?」
停車してエンジンを停止させると、私にパスポートと荷物を差し出してくれて。
「ッ、はい…、拓海と一緒に帰ります。
送って下さって、ありがとうございました!」
最後に深々と一礼すると、そのまま国際線カウンターへと走って向かった。
いつも愛しい貴方に甘えてばかりで、私は何も伝えてイナイ…――
だからお願い…、絶対に生きていて・・・