続きは、社長室で。2


目的のカウンターを見つけて直ぐ、用意されたチケットで手続きを済ませると。



それからビジネスクラスのラウンジで、飛行機の離発着に視線を向けていた私。



すると待ち侘びたアナウンスが流れてきて、目的の飛行機へと乗り込んだ。





桜井さんに手渡された搭乗チケットは、初めてのビジネスクラスだったけれど。



広々とした座席にも無情のままで、真っ暗闇の中の明かりに眼を向けていた。




眩い(まばゆい)ほどに放たれる光は、拓海の許へ向かう為の道標だから…。




「っ・・・」


いざ乗り込んで怖いと感じるのは、拓海の件を聞いたから…?



貴方の容態も掴めぬ状態のうえ、独りきりで事実へと向かう恐怖が嵩んでいて。



小刻みに震えている手を膝上でキュッと握り締めて、出発のトキを待っていた。





ようやく定刻となり、轟音を響かせて地上から夜空へとテイクオフしたジェット機。



機体が傾いて上昇する中で、心拍数もドクドクと激しさと早さを増していく。




愛おしい貴方とのキョリが、徐々に近づいているというのに何故…?



収まりを知らない感情は、真夜中だというのに私から睡眠欲を奪い去っていて。



出されたミネラルウォーターを口に含んでは、ひたすら暗闇を見続けていた。




早く会いたい…、お願いだから早く着いてと、幾度となく願いながら…。




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