続きは、社長室で。2


私は総合病院へと向かう道中で、拓海の状況を敢えて聞こうとはしなかった。



“百聞は一見にしかず”というより…、この眼ですべてを知りたくて…。



尋ねようとしない私から察したのか、杉本さんは状況説明で話を留めてくれた。




桜井さんと杉本さんの話を聞いて、おおよその概況は掴めたの…――




拓海を乗せたプライベートジェットは、初めからサイパンを目指して飛び立った。



桜井さんの話ではロス行きを2日早めて、サイパンで過ごす予定をしていた拓海。



同行出来なかった桜井さんが、ロスの杉本さんをサイパンへと迎えに行かせて。



拓海と杉本さんは、サイパンで合流する手筈だったそう・・・




それなのに飛行中のプライベートジェットは、乱気流に巻き込まれてしまった。



同乗の乗務員たちの話だと、機体は恐ろしいほど大きく乱高下したらしい。



運悪く電気系統がダメージを受けて故障し、レーダーから消失する羽目となって。



何よりもタイミング悪く、席を立とうとした拓海が頭を強打して意識を失った…。




パイロットの手腕で局面を乗り切ると、朝方であった事が救いだったらしく。



電気系統が故障するという、最低最悪のコンディションで飛行を続けてくると。



サイパン国際空港へと破損した機体のまま、どうにか無事に着陸は成功した…。




乗員全員が、病院へと運ばれて治療を受けなければならない状態で・・・




どうして…、天災はこんなにも無慈悲なのですか――?




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