続きは、社長室で。2
日本では季節と合致した、秋らしい装いとなるFOXEYだったのだけれど。
ムワッとした異国の空気に晒されて、今頃サイパンの暑さを実感させられた。
空調設備のある病院内へと入るまでが、やけに長く感じるだけだった・・・
眼前の建物へと杉本さんの案内で、夜間入口から静かに進んで行く私。
病院外で駆けたトキのまま走りたいのを押し込め、拳をキュッと握りつつも。
さらに静寂に響いてしまうルブタンの靴音にも、注意をして歩かねばならず。
拓海に募るキモチと東条の人間としての行動は、とてもチグハグだったけれど。
大丈夫…、これから拓海に会えるから…、大丈夫…――
冷や汗が背中を伝っていた自身を宥めて、あやすように何度も唱えていた・・・
ひたすら後ろをついて行くと、とある大きな部屋でピタリと歩を止めた彼。
翻してこちらへと振り返れば、暗がりの中で視線がピタリと合致する。
「此処だよ…、開けるね?」
ドクッと大きく脈打った心音のせいで、コクンと頷くだけで精一杯だった。
カラカラ――
彼がそのあとでドアに手を掛ければ、不気味な中で隔てられたドアが開くと。
「・・・っ」
その瞬間に私が捉えたモノは、呼吸など忘れさせるモノだった・・・