続きは、社長室で。2
悠遠の、始まり。
だからね、約束して欲しいの・・・
それまで頑張るから…、早く“蘭”って呼んで笑ってね…?
病室内の給湯室で眠気覚ましのコーヒーを淹れて、拓海の容態を見守っていると。
「佐々木さんさ、一度着替えたらどうかな。
その服だと、幾らなんでも暑いでしょ?」
「あ、そう、ですけど…」
幾ら室内とはいえ、南国のサイパンの暑さを感じずにはいられない。
それでも手配済みだったホテルには、戻るつもりなど無かった私。
日頃の疲労が蓄積からか、薬がよく効いて当分は目覚めないそうだけれど。
ようやく辿り着いた拓海の傍を、今は離れたくなかったのが本音だった…。
「だけど、先はまだ長いんだしさ…。
俺が社長を見てる間に、ホテルに行ったらどう?」
長袖のニット姿を見ながら、苦笑しながらアドバイスを付け加える彼。
「でも・・・」
「実を言うと、俺も汗をかいたし着替えたいんだ。
でも、俺だけ戻るなんて出来ないしさ…。
それに、サッパリすれば笑顔で看病出来ると思うよ?」
「…はい、それじゃあ」
「慌てて怪我しないようにね?」
なおも渋る私を宥めつつ、フッと笑って病室から送り出してくれた。