続きは、社長室で。2


ボロボロと溢れ出てくる涙のせいで視界がボヤけて、その場に座り込んだ私。



「うっ、ひっ…く…」


今ですら、誓った約束を破って、涙が堪えられナイような弱い人間なのに…。




本来なら、貴方がたにお仕えする立場である、佐々木の娘ですよ…?



いつでもダメすぎる私なのに…、それでも良いのですか…?




大切なご子息の看病も、未来も…、預けて下さるなんて…――



ありがとうございます、理沙子さん・・・





「っ、急がな、きゃ!」


5分ほど手紙を握って座り込んでいたものの、両手で瞳を拭って立ち上がった。



改めてバゲージから適当にお洋服を取り出して、そのままバスルームに向かうと。



驚くほど短時間でシャワーを浴びて、薄くメイクを施して準備を済ませてしまう。




最終の仕上げとして…、右手の薬指に大切な指輪をゆっくりと填めた。



それは東条の家紋が掘り込まれており、アメジストがあしらわれた高級品で。




“決断力、愛情、献身、冷静、覚醒…”



アメジストの宝石言葉すべてが、今の私に力をくれて病院へ急いで向かったの・・・




私は大丈夫だから…、今度こそもう泣いたりしないよ…?




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