続きは、社長室で。2
乗り込んだタクシーが病院に到着すると、そのまま病棟を急ぎ足で抜けていく。
今はバゲージに入っていた、トリーバーチのシューズを履いているために。
ヒール音も気にせず、貴方のコトだけを考えて病室へ向かえたの・・・
トントン――
特別室に到着したあと、一呼吸を置いて眼前のドアをノックすると。
「佐々木さん、良かった!」
「す、杉本さん!」
向こうからガラッと扉を開けられたので、こちらが驚かされてしまう。
「社長の意識が戻ったよ!」
「え、ほん、と、ですか…?」
「ホテルに電話したけど…、すれ違いだったみたいで」
あと少しで迎えに行こうと思ってたんだと、胸を撫で下ろす彼を尻目に。
「よかっ、た・・・」
バレエシューズがペタリと、地面に張りついたように動けなくなっていると。
そんな様子を察して、肩を引いて拓海のベッドの許へ連れて行ってくれた。
「社長、佐々木さんが見えましたよ!」
杉本さんが言葉を掛けると、優しいブラウンの瞳をゆっくり開けた愛おしいヒト。
眼が合った瞬間、一気に涙腺が崩壊して、安堵の涙を流したというのに…。
「だれ、だ・・・?」
「・・・え…?」