続きは、社長室で。2


今、ダレって言ったよね・・・?



そのフレーズに反応出来ずにいれば、フッと視線を逸らされてしまって。



優しいブラウンの瞳は、私の隣の杉本さんをジッと捉えていた…――




「申し訳ないですが、どちら様でしょう?」


「た、くみ…?」


「社長・・・」


幾許か置いて大好きな清涼で、私に齎された言葉は酷く残酷なモノで…。



こちらへ向けられていた眼差しさえ、警戒の念を抱いているように思えた。




た、くみ…、どうして…――?




「な…、なに言い出すんです!

婚約者に言うような冗談じゃないですよ?」


杉本さんが乾いた笑いを浮かべつつ、異様な空気を変えようとしてくれたのに。




「は…、誰が婚約をしていると…?

それこそ冗談がすぎますよ」


「っ――」


その気遣いが仇となった気がするほど、冷ややかな視線と嘲笑を向けられた。



「社長・・・」


優しいブラウンの瞳が、私を一点に捉えているというのに…。




愛おしい貴方には、いま私がどう映っていますか…?




< 148 / 226 >

この作品をシェア

pagetop