続きは、社長室で。2
今、ダレって言ったよね・・・?
そのフレーズに反応出来ずにいれば、フッと視線を逸らされてしまって。
優しいブラウンの瞳は、私の隣の杉本さんをジッと捉えていた…――
「申し訳ないですが、どちら様でしょう?」
「た、くみ…?」
「社長・・・」
幾許か置いて大好きな清涼で、私に齎された言葉は酷く残酷なモノで…。
こちらへ向けられていた眼差しさえ、警戒の念を抱いているように思えた。
た、くみ…、どうして…――?
「な…、なに言い出すんです!
婚約者に言うような冗談じゃないですよ?」
杉本さんが乾いた笑いを浮かべつつ、異様な空気を変えようとしてくれたのに。
「は…、誰が婚約をしていると…?
それこそ冗談がすぎますよ」
「っ――」
その気遣いが仇となった気がするほど、冷ややかな視線と嘲笑を向けられた。
「社長・・・」
優しいブラウンの瞳が、私を一点に捉えているというのに…。
愛おしい貴方には、いま私がどう映っていますか…?