続きは、社長室で。2
優しいブラウンの色をした瞳で、無機質な視線を向けられているというのに。
これらをすべて、受け入れろと言うのですか・・・?
『一時的なものでしょう』
診察を終えて医師たちが退出すると、たちまち鼓動がバクバクと早さを増して。
状況を上手く受け入れられナイ中でも、拓海は疑り深い眼差しを向けてくる…。
「本当に、君は誰なんだ…?
本当に俺の、婚約者なのか…?」
「っ…、わ、たしは…」
ジッと捉えられたままで尋ね直されて、グッと言葉に詰まっていた私。
動向を見守る杉本さんは、混乱を生じさせない為なのか押し黙っている。
“蘭”から“キミ”という代名詞へと、一線を引かれて変貌を遂げた呼び名。
清涼さを帯びた大好きな声からは、苦しみばかりが募る疑問符を投げ掛けられて。
「どうなんだ…?」
「っ・・・」
ツーと頬を伝い落ちていたハズの涙は、あまりの衝撃でいつしか止まっていた。
「私は…、貴方の…、ひ…、秘書です。
っ、す、みません…」
気づけば私は歪まない口元をグッと引き上げつつ、そう返していたの。
此処で本当のコトを告げたトキ、愛おしい貴方に拒絶されるのが怖くて…。