続きは、社長室で。2
もし記憶の断片に、少しでも私が残されているのなら・・・
二度と…、いや、絶対にアイツとは会わせない…――
身体の芯まで熱に侵されていた最中の約束だとしても、拓海は守るでしょう…?
有言実行がモットーの貴方にとって、ソレは至極当然のコトであって。
幼馴染みの私は傍らでずっと、その姿を見て来たもの・・・
「佐々木さん、大丈夫か?」
「えっ…?」
愛おしい声で発せられた問いかけに、ドキリとして顔を上げれば。
「顔色が悪い…、何か気に障る事をしたかな?」
「…っ――」
自らはもう触れられナイ、大好きな彼の手が私の片頬をそっと包んだ。
頬をなぞるしなやかな指先の感触が、心情に不釣り合いな鼓動を刻んでいく…。
「…いえ、とんでもございません!
ご心配には及びません、ただ寝不足なだけです…」
此処でもムリヤリに口元を緩ませて、ふふっと冗談めいて返したハズなのに。
「…泣きそうな顔も、寝不足からか?」
「っ――」
重なる視線と指先の温度に絆されては、取り繕うのを忘れてしまう・・・