続きは、社長室で。2
でも真実を告げるのは負担でしかなく、医師にも忠告されているからこそ。
「しゃ…ちょう、仕事に戻りましょう…?
こんな事で、折角のお時間を潰してはいけません。
私…は、コーヒーを入れて参りますね…」
「あ、佐々木さん――」
一気に捲くし立てると、制止も聞かずに社長室内の給湯室へと逃げ込んだ。
給湯室のドアをバタンと音を立てて閉めれば、そのままへたり込む私…。
どんなに手を伸ばしたくても…、どんなにギュッと縋りつきたくても。
今の私たちは思い出されるまで、決して触れてはならナイ間柄…。
でもね…、近づいてしまうと、長年のクセや習慣が飛び出そうになるの。
愛おしくて仕方ナイ人とのキョリの置き方なんて、分かりたくもナイ…。
感情の赴くままに、今なお全身に駆け巡る熱ごと奪って欲しいのに…――
コーヒーを淹れて戻れば、既に拓海はデスクで仕事を再開させていた。
静かにソーサーを置くと、私は奥に位置する社長秘書室へと入室して行く。
秘密の部屋とは間逆に位置し、以前は使用頻度の低かった所が本来の仕事場だ…。
それから久々の業務に奔走していれば、すっかり約束の時間が迫っていた。
避けるコトも出来ぬ再会に、ザワザワとした胸騒ぎしか生まれて来ナイ・・・