続きは、社長室で。2
決着の、始まり。
愛おしいヒトの為ならば、弱虫な自分と決別して強くなれる…。
愛おしいヒトの為ならば、恐怖からも逃げナイ自分になれる…。
ただ一筋の願いをこめて、ひた走る恐怖と不安に耐えていた・・・
アノ日と同じ席の位置関係で、革張りソファに身を置く私たち。
彼の巣窟である此処は、私たちにとって完璧なるアウェイだからこそ。
ただひらすらに息苦しくて、向けられる眼光の鋭さに縮こまりそうだ…。
「当てつけとは、どういう意味でしょうか?
爽やかさをウリにした、後藤さんらしくもない…」
「・・・っ」
記憶を失った拓海がサラリと返す言葉に、内心ヒヤヒヤとしている私。
表裏の面を持つ後藤社長に“爽やか”とは、そぐわないフレーズと思いつつ…――
「ハッ、ただのイヤミだな!
そうだろ、“妾(めかけ)秘書”さん?」
「っ、そんな――!」
考えを読み取られた挙句、失礼な呼び掛けに反論しようと立ち上がったのだけれど。
「今さら2人して、ノコノコとよくやって来れたものだ。
堕ちるところまで堕ちたか…?」
「ッ――!」
簡単に反撃を封じてしまうほどの冷たい声色が、私の身体を震え上がらせて。
吐き捨てるような屈辱的な言葉と蔑む視線にも、ただ怯んでしまうの…。