続きは、社長室で。2
苦しめたくナイ、笑って欲しい、安らいで欲しい・・・
そう祈りながらも、結局はいつも苦しめてしまう…。
東条 拓海というヒトと結婚する者として、私は最低だね――
築かれてきた貴方の品格を、奪いかねないというのに…。
「ううんっ…、ごめんなさい。
私なら、もう大丈夫です…」
今も伝い落ちる涙をサッと拭うと、フルフルと頭を振った。
「ホントに大丈夫か…?」
「うん、ありがとう…」
どことなく引き攣る口元を上げて、精一杯に笑顔を作り上げる。
貴方にさせたいのは、そんな表情じゃナイ・・・
誰の眼にも晒されないフロアで、手を繋いだまま闊歩していく拓海。
隣を歩いていると、先ほど圧し掛かったモノが少しだけ見えてきた。
ただでさえ拓海には、抱えているモノが山積しているというのに。
貴方を支える立場の私が弊害になったり、邪魔をしてはダメだよね。
愛していると口にした以上、強くならなきゃいけない――