続きは、社長室で。2
胸に引き寄せられている為、窺い知れない後藤社長の浮かべている表情。
愛でるような手つきで優しく、私の髪を撫でていくしなやかな手つき…。
何も分からナイ私が押し黙るには、十分過ぎるのよ・・・
「…やはり、簡単には口を割りませんか――
実際に蘭を目にした時、どう出るのか危惧はしていたが…。
どこまでも貴方は、自身の手を汚したくないようで・・・」
「なんだと…?」
「貴方の手法は卑劣であって、ファシズムそのもの…。
名に恥じぬよう忠実に生きるウチと、一緒にして貰っては困りますね。
寧ろ、不愉快だと言わせて頂きます――」
此処がアウェイであるコトを忘れそうなほど、泰然と話す愛おしいヒト。
「貴様…!」
「ッ・・・」
広い胸の中に納められながらも、恐怖心が募ってドクドクと囃し立て続ける鼓動。
どうすれば…、いつになれば、貴方のすべてが読めるのか――
「遠藤 涼太…と言えば、お解りでしょうか――?」
え―――?
「は・・・何が言いたいんだ?」
威圧感と怒気を含む声色ながら、余裕を取り戻したかのような後藤社長。