続きは、社長室で。2
まるで人格や人権などスルーした、冷たく蔑んだヒドイ笑い声が木霊して。
後藤社長の中から、次々に剥がされる裏面の恐ろしさに慄いてしまう…。
「まずは、お三方もお掛け頂けませんか?
後ほど、話して頂きたい事がありますので」
するとムリに捻りながら窺っていた私の身体を、ゆっくりソファへと沈めつつ。
だけれどしなやかな指先で、私の小さな手をキュッと握る拓海が空気を変えれば。
「…申し訳ございません、それでは失礼します…」
立川元部長が一礼をして、3人は一区画のソファへと静かな音を立てて座った。
そんな彼らを前にすると、ドク、ドク…と鳴り続ける鼓動が止まらなくなる。
私だけが何も知らぬ今の状況下では、止める術など見つけられそうもナイ…。
「面子が揃ったところで、先ほどの続きをお話しますと…。
遠藤くんと蘭が知り合いだと知った貴方は、ソレを利用しようとした。
…またしても権力を利用し、今度は彼に脅しをかけたそうですね?」
「ッ・・・」
拓海は至って冷静な物言いだけれど、標的へ向けるブラウンの瞳は冷たくて。
「クックッ…、探偵気取りで推理ショーか?」
「どう取って頂いても構いませんよ。
“事実は小説より奇なり”というように・・・
貴方の悪意に満ちた実際の遣り口に、いい加減に反吐(へど)が出ます。
ソレを明らかにするのですから、褒め言葉と受け取らせて貰いましょうか…」
「悪意だと――?」
ソレでも怯むこと無く笑う後藤社長は、やはり恐ろしい人格の持ち主だ…。