続きは、社長室で。2


拓海の言葉にウソはナイ…、その姿を見て来ているからこそだけれど。



ポツリと言葉が出てしまうほど、あまりに衝撃的な事実に苛まれたのも事実で。




「涼太くん…、ホ、ント、なの…?」


「・・・・・」


涼太くんに眼を向けても、たどたどしく尋ねたとしても返事はなくて。



いつでも優しかった彼らしく、私を傷つけるから言えないのだと悟ったの。




またしても自分の知らないトコロで、人を苦しめさせていたなんて…――




「蘭…、大丈夫か?」


「っ、…す、みませ…ッ」


隣からスッと長い指が伸びて来ると、そのまま頬を伝うモノを拭われた。



この瞬間に泣いてしまう弱さを押し殺すように、グッと歯を噛み締めると。





「…蘭は、何も悪くない・・・

オマエを巻き込んだ俺が、全部悪いんだよ…。

話の流れで東条グループが出てきてさ…、自慢げに話したんだ。

TS商事の担当になったばかりで、自分の株を上げようとしてさ…。

蘭や東条社長に迷惑が掛かるなんて事、知りもしないで・・・」


俯いたまま拳をギュッと握る涼太くんが、ようやく口を開いてくれたけれど。




「ホントにごめん…」


「ちがっ…」


自身を戒めるような態度に我慢ならなくて、そのまま頭を振って否定した私。




< 200 / 226 >

この作品をシェア

pagetop