続きは、社長室で。2
折衝相手と共通の話題を見つけたトキ、ソレが深まりゆくのは至極当然のコト。
ましてソレが大口取引先だとすれば、なおのコトだと分かるから・・・
「涼太くん…っ、ごめんなさい…」
「・・・ちがう、蘭は何も悪くないだろ…!
本当に、申し訳なかった…!」
革張りのソファから、ギシッと大きく音を立てて立ち上がると謝罪をし合う私たち。
「ごめっ…、ごめんね…」
どうして私は、いつも自分のコトだけで精一杯なのだろう…?
ソレが周りの大切な人たちを、苦しめているとも知らぬままに・・・
「ごめんなさい…ッ…」
堂々巡りとはこのコトで、どちらも譲る事無く誤り続けていたのだけれど…。
「私の、せいで・・・」
「蘭…、もう止めろ…――
…遠藤くんも席に着いてくれるか…?」
「はい…、申し訳ございません」
「・・・ッ」
そんな私たちを牽制しつつ、そっと宥めてくれる大きな手の温かさに誘導されて。
ようやく謝罪の往来が止んで、2人とも頷きながらソファへと身を沈めた…。