続きは、社長室で。2
拓海を騙して裏切ったヒトたちだと、心の中では許せない感情もあるのに…。
立川さんたちを見ていると、許すとか許さないという次元ではナイ気がした。
そのキモチを増幅させるのは、後藤社長の態度のせいなのかもしれない・・・
「担当者の長期入院で、アシスタントだった遠藤くんがTS商事の担当となった。
そんな新人の彼の手を捻る事など、貴方は容易いと仰いましたが…。
ソレはどうやら見当違い…いや、唯一の誤算でしたね。
蘭の反応を見れば“何も知らなかった事”が、既にお解かりでしょう・・・
遠藤くんが蘭に写真を見せなかった時にはもう、勝敗は決まっていた。
人の感情というモノは金や権力にも屈しない、強靭なモノですから…」
怒りを秘めているのか、それとも哀れに思っているのだろうか。
拓海のポーカーフェイスさに、やはり何も読み取るコトが出来ナイ私…。
「社長…、完全に私たちの負けです…」
「何だと・・・?」
睨みを利かせる後藤社長の顔つきに、少し怯んだ表情を見せた立川元部長。
「…探りを入れていた時点で、東条グループからは随分とプレスを掛けられました。
もし今後彼女に近づけば、東条家も相応の用意をすると…――
しかし…貴方には逆らえず、私と佳奈子は動き続けてしまった。
結果的にソレが、TS商事の首を絞める結果を招いただけだ…」
疲れ果てたような顔を見せながらも、立ち上がって主へと書類を提示した彼。
「何だ…、コレは――!」
受け取ったその書類をザッと見つつも、枚数を捲る手を止めない後藤社長。