続きは、社長室で。2
糸口の、始まり。
アノ日以来となる彼女との再会に、心がザワついていたのも事実だけれど。
思い詰めた表情を浮かべて、ツーと一筋の涙を流す佳奈子さんから眼が離せナイ…。
「社長…、もう、イヤなんです…。
これ以上…、お2人の仲を、苦しめたくない…!
もう…、ムリ・・・です…、止めてくださっ・・・」
「・・・ッ」
うっ、うっ、と嗚咽を漏らしながら話す彼女の姿に、グッと胸が痛んでいく。
その言葉が優しさからなのかは解らない…、けれどキモチに気づいてしまったの。
「そんな戯言、どうでも良い!
俺はA銀行の大株主だ、それがなぜ融資停止になる!?」
「そ、れは・・・」
彼女が愛しているヒトは、未だに訝しげな表情を浮かべる後藤社長だと…。
「それは立川や遠藤くんには、まったく無関係の話ですよ」
「なに・・・?」
追い詰めたところで、スッと話へと入り込む拓海に苛ついているような彼。
「御社がメインバンクとするのは、遠藤くんの勤めるA銀行でしたね?
A銀行は私のグループ傘下のT銀行へ、近いうちに吸収合併されますよ」
「吸収、合併…だと…?」
「えぇ・・・」
後藤社長の反応に笑う拓海の言葉で、思わず私まで眼を見開かせてしまった。