続きは、社長室で。2
合併の言葉が出て驚いているのは、どうやら私だけではないようだ。
その他の人たちまでもが驚きのあまりに、その眼を丸くしていた…。
「バカな…、A銀の経営状況は健全だ。
それがどうして急に、吸収合併に陥る!?」
後藤社長が質すのも当然…、A銀行の規模は日本でも有数の金融機関だ。
東条のグループ企業である、日本随一のT銀行には敵わないとしても…。
「えぇ、仰る通りです・・・
A銀行は日本屈指のメガバンク…、もちろん経営自体に問題はありませんよ。
問題があるのは、貴方だけですからね――」
「な、に?」
「貴方が仰いましたよね…、東条の本気とやらを見せて欲しいと。
前回は蘭を傷つけたくないと思い、無傷で終えてさしあげたのですが…。
今回ばかりは許すつもりもない…、全力で息の根を止めるつもりですよ。
大切なモノをまた苦しめようとした、貴方の会社ごとね――」
「ッ――!」
「…話によると御社では、来年のショー開催で投資額が嵩んでいるそうで…。
どうします…、このままだと融資は得られませんね?」
「っ、き、さま…!」
拓海の提示に対して、ギギッとめり込みそうなほど拳に力を入れた後藤社長。