続きは、社長室で。2
すべてをウヤムヤにして、誤魔化し続けて自身の弱さに泣きたい…けれど。
何を言われても仕方がナイ行動をしたのは、私の責任であって。
今までずっと、ソレらを拓海が庇っていてくれたコトさえ気づけなかった…。
またしても、身を挺して助けようとする拓海に甘えていてはダメだから・・・
平身低頭の一礼から頭を上げれば、こちらを見据える鋭い瞳を捉えたままで。
「…逃げようとしましたが…、それでも拓海しか、愛せないと分かりました…。
ご覧の通りに弱い人間でも…、一生彼の隣を…歩いていきたいんです…。
たく…、いえ、社長には、非力ながら私が説得したく思っておりますので…。
後藤社長を巻き込んで、本当に…申し訳ございませんでした…」
「蘭・・・」
「ッ・・・」
こちらをジッと見続ける後藤社長に名を呼ばれて、反応しようとしたトキ。
「蘭、なぜだ?」
クイッと手首を引かれて、隣で私を窺っている愛おしい人の表情に眼を向けた。
「お願いですから止めて欲しい…、社長らしくありません…」
傷つけられた私の答えがソレで良いのかと、尋ねているような気がしたの…。
拓海が行おうとしているのは、後藤社長だけではなくて。
TS商事に関連する人たち、すべてを巻き込んでしまう事態となりゆくから。
人を傷つけるコトを何よりも嫌う、拓海のポリシーに反するでしょう…?