続きは、社長室で。2
不安の色を浮かべるブラウンの瞳に、心配はイラナイと伝えようと笑い掛けた。
「私…、強くなるから・・・
だからもう、止めて欲しいの・・・拓海まで、苦しませて…ごめんなさい」
必死で言葉を紡ごうとすればする程、頬を伝う涙と嗚咽がソレを阻んでしまう…。
「蘭…、分かったよ」
「ひっ、く・・・っ…」
そんな弱虫な私を優しく笑いながら、温かい手でギュッと抱き寄せてくれた。
トクン、トクン…と、一定のリズムを奏でる鼓動はすぐに安心感を齎すの…。
「…蘭、それで」
周りに人がいるのも気にせず、私を引き寄せたまま話し始めようとしたトキ。
ガチャリッと音を立てて、社長室の重厚な扉が突然に開かれた・・・
「ったく…、いつになれば出番が来るんだよ?
来てみりゃ、ただノロけてやがるし…」
呆れた声でボヤきながら、コツコツと革靴の音を立てて歩いてくる人物。
「…祐史がタイミング逸しただけだろ。
大事なモノを優先して、何が悪い?」
「ッ――!」
フッと一笑して返したあと、私を胸の中に収めている状態を幸いとして。
愛おしいヒトは私の頭の天辺に、チュッとリップ音を響かせてキスを落とした。