続きは、社長室で。2
“大事なモノ”というフレーズで、またしても頬を涙が伝ってしまうけれど。
触れられた先へと熱が一気に放たれるように、ドキドキと鼓動が囃し立ていて。
恥ずかしながらも、久々の拓海の感触が嬉しさを蔓延させていくの・・・
「ハァー…、蘭ちゃんの事になると見境なさすぎだ…。
まぁ良い…、此処からはバトンタッチしろ。
TS商事さんとは今後について色々と、お話しなければなりませんしね?」
大袈裟な溜め息をつく桜井部長は、すっかり意気消沈の後藤社長を一瞥した。
「あぁ、あとは頼んだ。
後藤さん、“それなりの覚悟”はなさって下さいよ。
ソイツは見た目以上に、相当なクセ者ですからね…?」
「・・・・・」
私の身体ごとゆっくり立ち上がると、拓海も同様に標的を見下げているので。
「蘭…、ひとつ聞いて良いか?」
「ッ、は、はい…っ」
恐る恐るそちらを見れば、訝しげな顔つきをした後藤社長と視線が合致した。
「もし俺が…、オマエの幼馴染みだったら…。
東条と同じように、一緒の道を選んでくれたか…?」
「っ・・・」
不意に尋ねられた言葉と向けられる悲しい瞳に、思わず息を呑んでしまう…。