続きは、社長室で。2
今までに見たコトもナイ、傍若無人な後藤社長の苦しげな表情を凝視していれば。
握られた手にキュッと力が籠められたお陰で、此処でもホッと安堵してしまう私。
「え、と…そ、れは・・・
きっと、私…何度でも、拓海を求めてしまうと思います…。
私の人生は…拓海の存在ナシには、何も成立しないですから…。
だから…拓海と出会えた、この人生に懸けて、必死で彼と生きたいと思います。
ですから…、“もし、拓海じゃなかったら”という質問に、私は答えを出せません…。
後藤社長、本当に申し訳ございませんでした」
言葉にしようとしても、し切れない程に拓海への想いは募ってしまう。
拓海という存在ナシに、私の人生は何も残らないといっても過言ではナイの。
貴方の隣で笑っていたくて…、愛おしいヒトの傍に近づきたくて…。
それを胸に秘めたまま、ずっと、ずっと、私の人生は続いていたから・・・
改めて深々と一礼をしたあと、再び後藤社長と眼が合ったのだけれど。
「・・・そうか」
「はい・・・」
それ以上はもう、何も言葉を交わすコトがなかったのだけれど。
今までで一番晴れやかというか、スッキリとした表情を見せてくれた。
同じ世界で生きる者として、いつかまた会う日は笑い合えるかもしれない…――