続きは、社長室で。2
寝起きの悪い私には珍しい動作で、拓海は眼を丸くさせているけれど。
「どうした?」
「だっ、だって…」
低血圧を打ち負かす言葉を投げ掛けたのは、どちらよ・・・
バッチリと覚醒した瞳で、ようやく寝室であろう室内を一瞥すれば。
広々したシンプルな家具に、私たちが今いるキングサイズのベッド。
ふかふかしていて上手く身体を沈めてくれる、この高級ベッドの感触は。
何となく、アノ社長室の秘密の部屋を髣髴(ほうふつ)とさせる…。
「気に入らなかった…?」
「え、ちが・・・」
色々思案していると、こちらの様子を窺い見てくる拓海に頭を振った。
「それなら、一緒に住んでくれる?」
「っ、ん…」
愛しい笑顔でまた涙が溢れつつも、今度はコクコクと首を縦に振って頷く私。
「もう…我慢の限界――」
「たく、ンッ・・・」
私の頬は両手でそっと包み上げられ、そのまま扇情的な瞳が近づいてくると。
自然と眼を伏せれば、温かくて柔らかな感触が唇全体を包んでいく…。