続きは、社長室で。2
その一員になれる私は、言葉に表せないほど幸せ者だね・・・
「蘭、そろそろ出るぞ――」
「それでは、行って来ますね」
「えぇ、気をつけて行って来てね!」
理沙子さんとの抱擁を終えると、手を振って笑顔で東条の玄関を退出して行く。
「あ、サザンクロスだ!」
「その花、昔から好きだったよな?」
「うん・・・花言葉が大好きなの…」
小さな鉢の中で懸命に咲く花を一瞥して、その姿に笑みを零しながらも。
コツコツと革靴を鳴らす拓海に視線を戻し、今日もまた隣を歩いて行く私。
「では社長、本日の予定ですが…」
「今日は仕事はキャンセル!」
「えっ――!?」
遮るような言葉に、手帳を落としそうなほど驚いて目を見開かせてしまう。