続きは、社長室で。2
惰弱の、始まり。
これからはずっと…、一生添い遂げられるという事実が蔓延していた。
添い遂げられる喜びは糧に、笑い合えるトキは幸せへとカタチを成していて。
あまりに贅沢なトキがきっと、すべてに靄(もや)を掛けていたの…。
何を話す訳でもなく、拓海の胸へと身体を預けてしまっていた。
未だどこかで信じられないけれど、重なる鼓動が現実を告げてくれる。
もう独りじゃナイ…、ずっと、ずっと・・・
トントン――
柔らかなトキを断ち切るように、重厚なドアをノックする音が届いた。
「っ――!」
今って…、勤務中――!
その音は一瞬にして意識を覚醒し、仕事へと引き戻すモノになって。
慌てふためきながらも、咄嗟に拓海から離れようとしたけれど。
ギュッ――
あまりに容易く、その広い胸へとさらに押し込められてしまった。
「入っていいぞ――」
「ッ・・・」
あろうことか頭上で響く清涼な声は、ノック主の入室を許可してしまう。