続きは、社長室で。2
今さらだけれど、どう見てもマズい状況でしょう…?
ガチャッ――
間髪いれずに開けられたドアを、ただジッと凝視していた私。
すると、そのままスッと入室して来た人物に眼を奪われた。
バタンッ――
音を立てて閉まった重厚な扉が、再び密室空間を作り上げる。
私たちに新たな人物を加えた、社長室へと・・・
こちらに視線が注がれていても、拓海は一向に離してくれない。
かく言う私は、恥ずかしさで顔を上げられないままだけれど…。
「お前…、見境無しか?」
「ご明瞭…――
と言っても、“蘭に”だけど…?」
「ッ・・・」
自嘲した拓海に、さらにギュッと抱き寄せられてしまって。
仕事だと忘れてしまうほどに、鼓動は激しさを増していく。
「うわっ、俺の想像以上かよ…」
「最大の賞賛だな」
「ハハ・・・」
淡々と交わしつつも、最後は呆れたような声色が部屋に響いた。