続きは、社長室で。2
桜井さんが退出すると、仕事が山積している社長は一斉に片し始めてしまう。
私は何をする訳でもなく、ただソファに座らされているだけ。
一時間はその状態にも我慢出来たけれど、流石に辛いモノがあって…。
ギシッと音を立てて、革張りのソファからゆっくりと立ち上がった。
「どうした?」
高速で動かしていた手を止めて、こちらをジッと捉えている彼。
「あの…、秘書課に行って来ます。
荷物とか色々置いてありますし…」
退屈だったのもあるけれど、秘書ではなくなったのだから。
今から、デスクやロッカー内を片付けておこうと思ったのだ。
「ダメだ、此処に居ろ」
「っ…、でも・・・」
「“俺の傍を離れるな”って、約束しただろ?」
怒っているワケじゃない、優しく諭してくれているというのに。
「それは…っ・・・
でも、四六時中は一緒にいられないですよ?
私はヒマですし、行って来ます!」
「蘭、待て――!」
バタンッ――
どうしても素直に聞き入れられず、逃げるように社長室を退出した。
そのトキの私は、言葉の意味が解っていなかったのに・・・