続きは、社長室で。2
逃避の、始まり。
☆
どうして私は、こんなにも脆くて弱いのだろう…?
胸を張って拓海と結婚すると、言えないのかな…?
“誰も祝福しない…、卑怯で最低な貴方なんか…”
何も知らない人たちに色々と言われる事は、これでも覚悟していた。
それでも面と向かって言われると、今の私では堪えてしまう。
あのまま秘書課に身を置いている事が、耐えられなかったほど・・・
エレベーターに乗り込むと上には向かわず、そのまま下を目指した。
拓海の待つ社長室から、どんどんと遠ざかって下降するエレベーター。
密室空間へと逃げ込んだ私は、迷うコトなく1階のボタンを押したのだ。
「っ・・・」
ズルズルと床へ崩れ落ちそうになるのを、どうにか我慢している状態で。
これが高速エレベーターである事に初めて、嫌悪感を覚えてしまった。
折角1人になれたというのに、短時間で地上へと到着してしまうから…。
いつもは同乗する拓海の香りが立ち込めて、ドキドキが止まらないのに。
2人きりなら、トキが過ぎるのが早くて仕方なかった場所なのに・・・